贈与が否認されないために
生前贈与は、将来相続が発生したときの相続財産を生きている間に減らすことができるので、相続税を節税するための一般的な方法として利用されています。
しかし、相続税の税務調査によって財産の生前贈与が否認され、その財産を相続財産に含めて相続税を納税するよう指摘されるというケースが多くあります。このような事態を避けるためには、生前贈与が否認されないための対策をとる必要があります。
生前贈与が成立するための要件として、財産を贈与する方が「この財産をあげる」という意思を持ち、財産の贈与を受ける方が「この財産をもらう」という意思を持って、両者の間に合意が成立することが必要です。
したがって生前贈与が否認されないためには、このような要件の存在を示す証拠を確保し、保管しておくことが重要です。
生前贈与の否認に対する対策
具体的には、贈与者と受贈者が署名押印した贈与契約書を作成すること、できれば公証人役場で確定日付をとっておけばベターです。
また、贈与税申告が必要となる贈与の場合は、贈与を受けた方の自署押印のある贈与申告書を作成すべきです。
さらに、金銭を贈与する場合は、現金を手渡しするのではなく、銀行振込によって贈与すると、預金通帳などの証拠が残るため、効果的です。
特に贈与が否認されやすいケースとして、親や祖父母が、子どもや孫名義の口座に預金を積み立てている場合があります。親や祖父母が子どもや孫に秘密にして積み立てをしていれば、「この財産をもらう」という子ども・孫の意思がないため、贈与は成立しません。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。