父親死亡前からの寄与分が父親死亡後の母親の相続においても寄与分として認められた事例

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父親死亡前からの寄与分が父親死亡後の母親の相続においても寄与分として認められた事例

相談者

秋田県在住　佐藤清様（仮名）５０代　男性　会社員

相談内容

佐藤清様は，埼玉県生まれで、国立大学を卒業して大手企業に就職した後、長年秋田県に居住しています。佐藤清様は次男で、長男と長女との３人兄弟姉妹です。

佐藤様の亡父佐藤茂様（仮名）と亡母佐藤和子様（仮名）は，生前埼玉県にある亡父茂様所有の一戸建に住んでいました。佐藤清様の両親は、余裕の少ない家計状況でした。そのため佐藤清様は，両親に対し，平成１０年頃から生活費として毎月２０万円ずつ送金していました。佐藤清様は，父親が平成１９年に亡くなった後は，母親が平成２８年に亡くなるまでの間，母親に対し毎月１０万円を送金しました。

父親が亡くなった際に、父親の主たる遺産である自宅土地建物は、母親が単独相続しました。その後母親が平成２８年に亡くなり、佐藤様の兄で長男の佐藤隆氏（仮名），佐藤様の妹で長女の河井陽子氏（仮名）及び佐藤清様の相続人３名で集まり，母親の遺産分割について話し合いをしました。

その際，佐藤清様は，寄与分を主張しましたが，金額面で折り合いがつかず，話し合いはまとまりませんでした。その後，長男の佐藤隆氏が，家庭裁判所に母親について遺産分割調停を申し立てたため，佐藤清様は，調停時の対応を依頼したいということで，弁護士法人リーガル東京に相談がありました。

弁護士の対応と結果

亡母親の遺産は、自宅土地建物のほか、預金が１９００万円位ありました。

リーガル東京の弁護士は，佐藤清様の代理人として，遺産分割調停において「佐藤清様が両親に送金して扶養した結果，母親の財産が維持されたこと，佐藤清様の母親への送金が通常期待される範囲を超える貢献であったこと，佐藤清様の送金が無償かつ継続的に行われたものであること」を主張しました。これとあわせて，佐藤清様が両親に対する送金を開始した時期，送金の履歴，佐藤清様の送金が母親の財産維持にどのように役立ったのか等について，主張立証を試みました。

その結果，家庭裁判所から，佐藤清様が母親の扶養のために１８００万円近い金額を負担していると認められるとして，佐藤清様が寄与分額として金１０００万円の金額を預貯金から取得し，それ以外の遺産（主に自宅土地建物）を法定相続分どおり３分の１ずつ分割するとの案を提示されました。佐藤清様の兄・隆氏及び佐藤清様の妹・陽子氏は，上記案に同意し、かつ自宅土地建物は売却処分し、売買代金を３分の１ずつ分配することになりました。そして母親名義の預金は、兄と妹は預金３００万円ずつの取得に対し、佐藤清様は，寄与分として，金１０００万円を認められましたので、預金１３００万円位を取得できることになりました。