亡父の遺言書が一部変造された無効な遺言として訴訟提起されたが、遺言は有効との勝訴判決を得た事例
相談者
東京都在住 林一郎様(仮名)40代 男性 自営業
相談内容
林一郎様(仮名)は,父親太郎(仮名)が亡くなり,その後,相次いで,三好様の2番目の姉花子(仮名)も亡くなりました。父太郎と姉花子の相続人は,林一郎様の1番上の姉甲と妹乙の二名でした。
亡父は,生前,父太郎の財産を林一郎様に全て相続させるという内容の自筆の遺言書を作成しており,また姉花子も,全ての財産を林一郎様に相続させるという内容の自筆の遺言書を作成していました。
林一郎様は,弁護士法人リーガル東京に対し,父太郎と姉花子の自筆の遺言書の検認手続を依頼し,弁護士法人リーガル東京は両名の遺言書の検認手続を済ませました。
ところが、その後,林一郎様の姉甲と妹乙が,亡父の遺言書は林一郎様が亡父死亡後に作成日付を書き加えて印鑑を押印したものであり,変造された遺言書で無効であるとして,林一郎様に対して訴訟を提起しました。そこで林一郎様は,遺言無効確認訴訟の件を,弁護士法人リーガル東京に依頼しました。
弁護士の対応と結果
そこで,弁護士法人リーガル東京は,遺言書の画像データをパソコンの画像編集ソフトで編集するなどで,あたかも日付の記載や押印がないかのようなコピー書面を作成することは十分に可能であると指摘して,相手方が証拠として提出した遺言書コピーも、そのような編集・加工によって作成されたものであると主張しました。
また弁護士法人リーガル東京は,林一郎様の叔母にお願いをして,父太郎が,生前,いずれはすべての財産を林一郎様に継がせたいと話していたことなどを証言してもらいました。
その結果,裁判所は弁護士法人リーガル東京側の主張を認め,父太郎の遺言書は変造されたものではなく有効であるとして、姉甲と妹乙側の請求を棄却する判決をしました。
これに対して姉甲と妹乙は控訴しましたが,高等裁判所は,控訴審第一回口頭弁論で終結させ判決言渡期日を決めました。もっとも兄弟姉妹間の紛争であることや遺留分減殺請求の問題も残ることから、高等裁判所の裁判官から、父太郎の遺言書が有効であることを前提に和解ができないかという提案がありました。 弁護士法人リーガル東京は,林一郎様の姉花子の自筆の遺言書の無効を主張される可能性がないわけではなかったので,和解をするのであれば,父太郎の相続のみならず,姉花子の相続についても一緒に解決した方が良いと提案しました。
父太郎の相続については,全て財産を林一郎様に相続させるという遺言書が有効と認められたとしても、姉甲と妹乙には遺留分があるため,父太郎の全財産から甲乙の遺留分を差し引いた財産を林一郎様が取得し,姉甲妹乙の遺留分に相当する財産を両名が取得すること、また姉花子の相続については,姉甲が父太郎と姉花子の葬儀費用などで費消した約150万円を除外した姉花子の財産を、林一郎様が相続するという形で,ほとんど全面勝訴に近い和解を成立させることができました。
(亡父林太郎の自筆の遺言)注)赤字の部分を死後加えたと主張された
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。