相続で共有の土地につき共有物分割請求され勝訴的和解をした事例
相談者
東京都在住 田中様(仮名)50代男性 会社員
相談内容
田中様(仮名)は、亡くなった父親から、東京都内にある広大な土地(以下「A土地」と言います)を遺言で、母親と田中様と弟乙が遺言により、母親6分3、田中様6分の2、弟乙6分の1の割合で共同相続しました。
その後母親が死亡し、母親の遺言で母親が夫から相続したA土地持分を、田中様が全て相続しました。しかし事情があって相続登記をしないで、父親名義のまま何年も放置していたところ、亡母親の債権者が代位で法定相続の内容で相続登記をしてしまい、登記簿上は、田中様の持分12分の7、弟乙の持分12分の5となりました。
その後、田中様は、弟乙から、「自分も相続により土地の持分を持っている」と主張され、共有物分割請求訴訟を提起されました。
係争となった共有土地は、田中家が先祖代々受け継いできた土地であったため、田中様は、換価分割をしないで守りたいと考えていました。
しかし、当該共有土地は都心の一等地にあり、面積も大きかったため、弟の主張する土地持分に相当する代償金を払って解決しようとすると1億円近くが必要となり、田中様が用意できる額ではありませんでした。
そこで、田中様は、当該共有土地を手放さずに解決できないかと弁護士法人リーガル東京に相談に来ました。
当弁護士法人が共有物分割請求訴訟の代理を受任することになりました。
弁護士の対応と結果
共有物分割訴訟の代理人となった弁護士法人リーガル東京は、田中様から事情を聴取しました。
田中様によると、両親が亡くなった後、当該共有土地をどうするかという点について弟乙と話し合いをしており、その話し合いの中で、「弟乙が両親の相続により取得できた土地の持分はすべて田中様に譲る」という合意があったということでした。そして田中様と弟乙は、その合意内容について「合意書」という書面を作り、それぞれが署名押印をしていました。
弁護士法人リーガル東京は、共有土地の持分の譲渡の合意があったことの証拠として当該合意書を裁判所と弟乙側に提出したところ、弟乙側の代理人弁護士は、「その合意書は無理やり書かされたものであり無効である。」とか「法律の素人が作ったものであり、土地の持分を譲るという意思はなかった。」などと反論してきました。
しかし、田中様は、弟乙と話し合いをした時の会話を録音しており、そのデータを持っていました。
そこで、弁護士法人リーガル東京は、録音データを聴き取り、田中様と弟乙の発言を漏らさず文字に起こしたところ、田中様が弟に無理やり合意書を書かせたという事実はなく、また、弟乙は、共有土地の乙持分を田中様に譲るということを十分に理解した上で合意書に署名押印していたことが明らかでした。
そこで、弁護士法人リーガル東京は、録音データとその会話内容を文字にした書面(反訳文)を裁判所と弟乙側に提出し、田中様に有利な法的主張をしたところ、裁判所より田中様に有利な内容での和解の勧告がありました。田中様は、弟乙に対して田中様が用意できる範囲内の和解金1000万円を支払うだけで、A土地の所有権はすべて田中様にあるということを確認する和解を結ぶことができました。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。