遺産分割審判において寄与分の主張が認められた事例
相談者
井上様姉妹(仮名)
相談内容
井上様姉妹(仮名)の祖母甲が亡くなり、その相続人は、甲の亡長男の代襲相続人である井上様姉妹と叔父乙と叔母丙の4人でした。
井上様の祖母甲は、生前認知症になり、井上様姉妹の両親が住宅を新築して祖母甲と井上様姉妹と両親が同居するようになりました。そして井上様姉妹と両親は、祖母甲が老人ホームに入居するまで,認知症の祖母甲の介護、身の回りの世話などを献身的に行なっていました。祖母甲が亡くなる数年前に井上様姉妹の父親(祖母甲の長男)が亡くなりました。井上様姉妹の父親死亡後は、井上様姉妹が母親と協力して祖母甲の世話をしてきました。
祖母甲が亡くなった後,井上様姉妹は叔父乙叔母丙と遺産相続の話し合いをしましたが、うまくいきませんでした。
その後、叔父乙と叔母丙は弁護士に依頼し、井上様姉妹を相手とする遺産分割調停を、家庭裁判所に申し立てました。調停では井上様姉妹は、祖母甲の介護などを行なってきたことを考慮した遺産分割をするよう求めましたが、叔父叔母側はこれに応じませんでした。井上様姉妹が当初弁護士に依頼していなかったこともあり、遺産分割調停は不成立となり、遺産分割審判手続に移行しました。その時点で井上様姉妹は、弁護士法人リーガル東京に相談に来ましたので、亡祖母甲の遺産分割審判手続を受任することになりました。
弁護士の対応と結果
弁護士法人リーガル東京は、亡祖母甲が介護を必要とする状態であったことを示すため、当時の祖母甲の要介護認定証、要介護認定の際に作成された役所の書類、通院していた病院のカルテなどを取り寄せました。そして、これらの資料により、当時の祖母甲の認知症は相当進行しており、徘徊や異常行動が頻繁に見られる状態であったことが分かりました。そこで弁護士法人リーガル東京は、これらの資料を証拠として家庭裁判所に提出し、当時の祖母甲が介護なしに日常生活を送ることは不可能であったこと、亡祖母甲と同居していた井上様家族が長年にわたって介護をしていたことを主張しました。
その結果、家庭裁判所は、井上様姉妹側の主張を認め,井上様姉妹が亡祖母甲の介護を長年行なってきたことを寄与分として認定しました。
その結果、井上様姉妹は、亡祖母甲と暮らした自宅敷地や預金等の遺産を、井上様姉妹の法定相続分よりも500万円以上も多く取得することができました。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。