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遺留分減殺請求で特別受益を認め高額の遺留分が支払われた事例

相談者

東京都在住 佐川様(仮名) 30代 会社員

相談の内容

 佐川様は、両親が20年以上前に離婚したため、実の父親甲とは疎遠でした。会社を経営していた実の父親甲は、佐川様の母親と離婚して直ぐに再婚し、後妻乙との間に息子丙がいました。

佐川様は、1年前に後妻乙から「夫が亡くなった。遺言で金2000万円を娘のあなたに渡すようになっているから送金する。相続税申告が必要だが、こちらで処理するから。」との連絡を受けました。佐川様は母親から、「父親甲が会社を創めるにあたり母親の実家からかなりの金額の支援を受けていたこと、父親甲の会社は不動産などを相当所有しているはず。」と聞いていました。

ですから佐川様は、自分の遺留分は父親の遺産の8分の1であっても、その金額は、貰えるという金2000万円を上回るはずと考えました。そこで佐川様は、弁護士法人リーガル東京に相談しました。 

弁護士の対応と結果

 弁護士法人リーガル東京が調べたところ、後妻の居住する土地建物は父親甲の所有であることや一部土地持分を後妻乙に生前贈与していたことが分かりました。父親甲が経営していた株式会社Aを調べたところ、息子丙が代表者になり経営し、本社所在地に1500㎡位の土地を株式会社A名義で所有していることが分かりました。

 しかし遺産の全容や特別受益の全容を把握することは難しいため、税理士法人リーガル東京の税理士のアドバイスを受け、佐川様に後妻乙や息子丙と一緒に相続税申告をしてもらうことにしました。

 そして税理士法人リーガル東京が、相続税申告書の内容を調査したところ、遺産の中に株式会社Aの株式相当数があり、さらに息子丙は、父親甲が保有していた株式会社Aの株式について、その約3分の1を、父親甲から生前贈与されていたことが分かりました。

 弁護士法人リーガル東京は、後妻乙と息子丙に対し、遺留分減殺請求の内容証明郵便を送付しました。すると後妻乙と息子丙の代理人弁護士から受任通知が届きました。リーガル東京は、後妻乙と息子丙の代理人弁護士に対し、遺産である株式会社Aの株式評価をしたいので、同社の決算書等の開示を求めました。開示された会社に関する資料に基づいて、税理士法人リーガル東京の税理士が株式を純資産算定方式で算定し、息子丙に生前贈与された分を特別受益として加算しました。また後妻乙に生前贈与された不動産持分も特別受益として加算し、自宅不動産を時価評価しました。その上でリーガル東京が計算したところ、遺留分侵害額は6200万円になりました。

 そこで6200万円の支払請求を後妻乙と息子丙の代理人弁護士に伝えたところ、早期解決を希望するとして6000万円の支払提示がありました。佐川様は、その金額に納得しましたが、遺留分として金6000万円を受け取った場合、本来ならば相続税の修正申告と相続税の納付が必要になるため、相続税の負担について、リーガル東京と後妻乙と息子丙の代理人弁護士とが協議しました。その結果、最終的にリーガル東京側の主張を受け容れ、佐川様が修正申告をしなくてもよい(6000万円について相続税は後妻乙と息子丙が負担する)処理で合意しました。佐川様は、後妻乙と息子丙から金6000万円を支払ってもらい、大変喜びました。

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この記事の監修者

弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)

小林 幸与(こばやし さちよ)

〇経歴

明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。

日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。

豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。

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