遺産分割協議で、兄の代理人弁護士から特別受益を主張された事例
相談者
東京都在住 伊藤様(仮名・50代・男性)
相談内容
伊藤様は、亡両親の遺産について、地方在住の兄との間で話し合いをしておりました。けれども兄側からの提案に納得がいかず、当事務所に相談されました。
伊藤様が最初に相談に来所された際、兄側からの遺産分割協議案を拝見して伊藤様から事情を伺いました。兄側が提案した内容は、伊藤様にとって不公平な内容に思われたため、同遺産分割協議案には応じる必要はないことなどをアドバイスしました。
その後、兄側が弁護士に依頼したことなどから、伊藤様が再度来所され、当事務所に遺産分割協議交渉を依頼しました。当時兄側は、「(伊藤様が)亡両親からマンション購入費用を生前贈与されている。」などと特別受益を主張していて、伊藤様については特別受益分を減額した額での遺産分割を求めていました。
弁護士の対応と結果
伊藤様が再相談に来所された際、兄側には弁護士がついており、特別受益の点を争う予定でしたので、伊藤様にとって有用適切な法的主張をするためには、伊藤様も弁護士に依頼した方がよいことなどをアドバイスしました。
そして、伊藤様は、当事務所に遺産分割協議交渉を依頼されました。
当事務所は、兄の代理人弁護士に対し、兄側が主張するような特別受益がないこと、むしろ伊藤様は、亡両親の生前に亡両親に対して金銭的援助をしていたこと、兄側にこそ特別受益があることなどを、具体的事実を挙げて主張し、伊藤様が希望する内容の遺産分割協議案を提案しました。
当事務所は、兄側代理人と交渉を重ね、最終的に、双方とも特別受益を争わないという前提で遺産分割協議をすることで合意し、兄が地方の不動産を取得する代わりに兄の方が伊藤様に対して相当額の代償金を支払い、預貯金は伊藤様が取得するという形の遺産分割協議を成立させ、解決することができました。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。