遺言書有効性を巡る兄弟間の争いにおいて、認知症ではなかったことの証明で遺言無効主張を覆した事例
相談者属性
年齢・性別:70代・男性
被相続人との関係:親子(被相続人は母親)
相手方:①兄 ②被相続人の養子
居住エリア:埼玉県
相談に至った経緯
依頼者は、母親が亡くなった後に、相手方である兄から公正証書遺言を提示され、そこには、母親と養子縁組した方にも遺産を相続させるという内容が含まれていました。しかし、依頼者は母親がその後に作成したもう1通の手書きの遺言書を所有しており、その遺言書には、養子縁組した方には一切遺産を相続させず、実子のみに均等に相続させる旨が記載されていました。
依頼者は、裁判所において遺言書の検認手続きを行ったところ、その後、相手方から「手書きの遺言書は無効である」との裁判を起こされ、依頼者は裁判を前にして当事務所に依頼をされました。
弁護士が対応したこと
本件において、訴訟では相手方が「被相続人(母親)は遺言書を作成した時点で認知症を患っていた」と主張しました。これに対し、当方は被相続人の介護認定記録や病院での介護記録(カルテ)を精査し、さらに、依頼者が録音していた遺言書作成時の被相続人の肉声のデータを証拠として提出しました。また、これらの記録を認知症の専門医に確認してもらった上で、「被相続人は遺言書作成時に認知症ではなかった」という内容の意見書を作成してもらい、証拠として提出しました。
一方、相手方は当時の主治医の意見書などを提出し、「遺言書作成時には被相続人の認知機能が低下していた」と主張しました。
結果
一審において当方は勝訴し、遺言書の有効性が認められました。その後、相手方は控訴しましたが、控訴審においても当方が勝訴し、その後勝訴判決が確定しました。この結果、依頼者の主張が全面的に認められる形となり、遺言書が有効であると最終的に確定しました。
依頼者の声
「意見書を書いてくれるお医者さんを紹介していただいたおかげで、無事に勝訴することができました。結果に大変満足しています。」と依頼者から感謝の言葉をいただきました。
このような事案では、早期に弁護士に相談することが重要です。ご自身が一人で対応していたら、証拠を集めたり、専門家を探すのに時間と労力がかかり、大きな負担になっていたと思います。しかし、弁護士に相談したことで、必要な資料を漏れなく揃えることができ、ご希望のように進めることが可能です。相続問題で悩んでいる方は、できるだけ早く専門家にご相談してください。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。