【遺産分割Q&A】相続手続きをしないまま放置するとどうなる?
相続手続きをしなくても、相続権を失うことはありません。ただし、放置していると、被相続人(亡くなった方)の借金を引き継いでしまったり、相続税の負担が重くなったりするなど、さまざまなトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
1.相続手続きをしないまま放置するリスク
被相続人に借金などの負債がある場合は、相続開始から3ヶ月以内に相続放棄をしなければ、その負債を引き継いでしまいます。
遺産の中に不動産がある場合には、相続開始を知った日から3年以内に所有権移転登記(相続登記)をしなければ、10万円以下の過料が課せられることがあります。
預貯金や株式についても、長期間放置していると権利が消滅することがあるので、注意が必要です。
遺言などで遺留分を侵害された場合は、遺留分侵害額請求が可能ですが、この手続きは相続開始と遺留分侵害を知った日から1年以内に行わなければなりません。
相続人でない人に相続財産を侵害された場合には、相続回復請求によって取り戻すことができますが、この請求は相続権が侵害されていることを知った日から5年以内(相続開始から20年が最長)に行わなければなりません。
相続税がかかる場合には、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に、相続税の申告と納付が必要です。放置していると、無申告加算税や延滞税が加算されてしまいます。
被相続人に事業所得があった場合には、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に相続人が確定申告(準確定申告といいます。)をしなければなりません。怠ると、やはり無申告加算税や延滞税が加算されてしまいますので、注意が必要です。
その他にも、相続開始から長期間が経過すると次の相続が発生し、権利関係が複雑になってしまい、相続手続きが難しくなるおそれがあります。
2.相続手続きをスムーズに進めるためには弁護士へご相談を
相続手続きを進めたくても、相続人間で意見が対立し、遺産分割協議が進まないこともあるでしょう。
相続人の中に未成年者や認知症の高齢者、行方不明の方などがいて、どうすればよいのかが分からないこともあると思います。
そんなときは、早めに弁護士へご相談ください。状況に応じた対処法についてアドバイスが受けられますし、必要に応じて法的手続きをとってもらうことも可能です。
トラブルを回避し、相続財産を適切に受け取るためにも、弁護士のサポートを受けて相続手続きを早めに進めていきましょう。
この記事の監修者

弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。




















