【遺言Q&A】遺言を遺した方が良いのはどういう場合ですか?
結論として、どのような場合でも遺言を遺した方がよいです。その中でも、以下のケースでは特に、遺言を遺した方が良いといえます。
1.特に遺言を遺した方が良いケース
特に遺言を遺した方が良いケースとして、以下の6つの場合が挙げられます。
特定の人に財産を渡したい場合
相続人が複数いる場合、遺言をしておかなければ、遺産は基本的に法定相続分に従って分割されます。しかし、遺言によって特定の人に財産を渡すことができます。
例えば、内縁の配偶者や、長男の妻、配偶者の連れ子(養子縁組をしていない場合)、介護施設の職員など特にお世話になった人など、相続権がない人に財産を渡したい場合には、遺言書を作成しておくことが有効です。
相続させたくない相続人がいる場合
逆に、相続人の中に財産を渡したくない人がいる場合も、遺言によってその意思を実現できます。
ただし、兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分という最低限の相続分が保障されることに注意が必要です。
相続トラブルが発生しそうな場合
相続人同士の仲が悪い場合や疎遠になっている場合などは、遺言で遺産の分割方法を指定しておくと、相続トラブルの防止に役立ちます。
子どもがいなくて配偶者と親や兄弟姉妹が相続する場合や、前婚での子や認知した子がいる場合なども相続トラブルが発生しやすいので、遺言をしておいた方がよいでしょう。
相続手続きが難しくなりそうな場合
相続人の中に認知症の人や未成年者がいる場合、遺産分割協議を行うためには、後見人や特別代理人を選任しなければなりません。相続人の中に行方不明者がいる場合も、不在者財産管理人を選任しなければならない可能性があります。
これらの場合でも、遺言書を遺しておけば、スムーズに相続手続きを行えるようになります。
事業を承継したい場合
後継者へ事業を引き継ぎたい場合は、その人へ事業用財産を渡すために、遺言書を作成しておいた方がよいでしょう。
相続人がいない場合
相続人が全くいない場合、遺産は国のものになってしまう可能性が高いです。お世話になった方などに財産を渡したい場合は、遺言書を作成しておきましょう。
2.遺言書の作成は弁護士へご相談を
遺言書は、法律上の細かなルールを守って作成しなければ無効になってしまいます。適切な内容の遺言書を作成するためにも、まずは弁護士へご相談ください。
この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。