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【遺言Q&A】遺言無効を判決で認めてもらうために必要な証拠は何ですか?

遺言には、主に自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

1.自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が、遺言全文(添付の財産目録以外)と作成年月日と自分の氏名を、手書きした遺言です。

自筆証書遺言について、遺言の方式が整っていない場合(例:遺言者の押印がない、作成日付が不正確など)に、遺言無効を主張して訴訟する場合は、無効を認める判決を得やすいでしょう。

自筆証書遺言について、遺言者本人が書いたものではないことが争われるケースが、よくあります。遺言者本人の字ではないと主張して訴訟する場合、遺言者本人の筆跡でないと主張することになりますので、「遺言書の筆跡」と「遺言者が書いたことに争いがない別の書面の筆跡」との筆跡鑑定を証拠にする必要があります。

また遺言能力(遺言を作成するだけの意思能力)がないと主張して訴訟する場合、遺言者の遺言作成当時の判断能力を問題にしますので、以下の証拠を収集します。

①遺言者が入院や通院をしていた場合、該当する病院の診療記録や看護記録などの写し

②遺言者が介護認定を受けていた場合、介護認定の記録や主治医の意見書の写し

③遺言能力の存否が争われる場合、医師の意見書を用意し提出することもあります。

2.公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人が、遺言者の真意を確認して遺言文を作成し遺言者が遺言書に署名押印する際に、公証人と証人2名が同席して作成される遺言です。公正証書遺言については、遺言無効の事由として口授の要件を欠いたとして無効を主張するケースもないわけではありませんが、遺言能力がないと主張して訴訟するケースが相当多いと思います。
この場合も、前記の自筆証書遺言のケースと同様に、証拠(遺言者の診療記録や介護認定資料など)を収集します。

もっとも、自筆証書遺言の場合と異なり、遺言無効の立証責任が無効を主張する側にありますので、証明の程度はより厳格なものが求められます。

3.勝訴するためのポイント

遺言無効を主張して勝訴判決を得るためには、上記の客観的証拠の外遺言者と受遺者との関係等、遺言内容の不自然性を強調する証言や陳述書も必要です。

この記事の監修者

弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)

小林 幸与(こばやし さちよ)

〇経歴

明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。

日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。

豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。

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