【遺言Q&A】遺言書を作成するタイミングや注意点はありますか?
遺言書を作成するタイミングは、基本的に早い方がよいといえます。
遺言書を作成する際には、形式面と内容面の両方で注意すべき点がありますし、保管場所にも注意する必要があります。
1.遺言書を作成すべきタイミング
いつか遺言書を作成しようと考えていても、つい先延ばしとなることも多いものです。
遺言書を作成しないまま亡くなってしまい、残された相続人たちの間で相続トラブルが発生するケースも多々あります。
このような事態を防ぐためには、遺言書を作成したいと思い立った時点で作成しておいた方がよいでしょう。
遺言書の作成後に気が変わったり、推定相続人の構成が変化したりした場合には、新たな遺言書を作成することによって遺言の内容を変更できます。内容が異なる遺言書が複数ある場合には、最も日付が新しい遺言書のみが有効となるからです。
満15歳以上の人は遺言書を作成できますので、早めに作成しておくことをおすすめします。
「もっと年をとってから作成しよう」などと考えていると、認知症となって意思能力が低下し、遺言ができなくなる可能性があることにご注意ください。
2.遺言書を作成する際の注意点
自筆証書遺言を作成する場合には、形式上の細かなルールを守らなければ、無効になってしまうことに注意が必要です。
公正証書遺言を作成すれば、形式の不備で遺言が無効となることはほとんどありませんが、それでも遺言の内容の面で注意すべき点があります。
著しく不公平な内容の遺言書を残すと、不満を持った相続人が権利を主張し、相続トラブルに発展しやすいです。
特に、誰か1人にすべての財産を相続させる内容の遺言は遺留分を侵害するため、相続トラブルが発生する可能性が高いことに注意が必要です。遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された、最低限の相続分のことです。
また、自筆証書遺言を作成した場合には、保管場所にもご注意ください。
家族などが見つけやすい場所に保管していると、遺言書を改ざんされたり、破棄されたりするおそれがあります。逆に、厳重にかくしておいたのでは、ご自身の死後に遺言書を見つけたもらえないことにもなりかねません。
このような事態を回避するためには、法務局の遺言書保管制度を利用したり、弁護士に依頼して事務所で保管してもらったりすることが有効です。
遺言書を作成する際には、弁護士へのご相談がおすすめです。
この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。