特別受益とは
◆特別受益とは
特別受益とは、亡くなる前にすでに受けている利益のことです。
複数の相続人がいる場合、たとえば、そのうちの1人がすでに「贈与」などで利益を受けているのなら、その分も考慮して遺産を分割した方が公平なのではないかということになります。すでに利益を受けている人がいるのに、亡くなった人の遺産を公平に分割したとしたら、先に利益を受けていた人だけが得をしてしまうことになるからです。
この特別受益を受ける人のことを「特別受益者」といいます。
特別受益にあたるものは、さきほど例にあげた「贈与」のほかに、「遺贈」や「分割方法の指定」などがあります。
ですから、遺産分割がされるときに、「その時の遺産+生前に贈与された額」を相続財産ということにして、これを相続人で分割しましょうという考え方になるのです。このことを「特別受益者の持戻し」といいます。
このようにして分割された額を相続することになるので、特別受益者は、他の相続人より少ない額を相続することになりますが、特別受益があるので、不公平ということにはなりません。
わかりやすく説明すると、ある人が、「りんご」を5つ残して亡くなったとします。相続する人は3人いるのですが、そのうちの1人は、亡くなる前にりんごを1つもらっていました。これが「特別受益」にあたります。この場合、遺産である5つのりんごのうちから、その特別受益者は、りんごを1つだけ相続し、残りの2人は、りんごを2つずつ相続するということになるわけです。
※ここでは簡単に説明しましたが、さまざまなケースがあるので、弁護士へ相談してください。弁護士も裁判官も判断に迷うようなケースさえあるからです。
◆特別受益者になるのは
特別受益者になるのは、被相続人(亡くなった人)から以下のものを受けた人です。
1.遺贈
2.婚姻・養子縁組のための贈与
3.生計の資本としての贈与
特別受益者になるかならないかは、生前贈与などがおこなわれた時点において、それを受けた人が推定相続人であったかどうかということで判断されます。ですから、おじいちゃんやおばあちゃんが孫へ贈与した場合、原則として、特別受益にはあたりません。孫が、その贈与をお父さんやお母さんに渡していたとしても、孫はその時点では推定相続人ではないからです。
とは言っても、実質的には相続人(上の例でいうお父さんやお母さん)に贈与されたものであることがはっきりしているような場合は、特別受益にあたることになります。たとえば、自分の息子に贈与する目的で、息子のお嫁さんの名義として贈与するようなケースがあります。息子の嫁は推定相続人ではありませんが、特別受益にあたる場合があります。
ですから、相続人ではない第三者に贈与した場合は、上の3つの条件に該当しないのですから、原則として特別受益にはならないのですが、すべてが特別受益にならないわけではないということになります。
※ここでは簡単に説明しましたが、さまざまなケースがあるので、弁護士へ相談してください。弁護士も裁判官も判断に迷うようなケースさえあるからです。
◆特別受益財産とされるもの
特別受益財産とされるものは、以下のものがあります。
1.遺贈
2.婚姻・養子縁組のための持参金、支度金など
3.大学の学費、留学費用、医学部進学費用など高額な学費など
4.不動産の贈与
5.動産、金銭、社員権、有価証券、金銭債権の贈与
6.借地権の承継
7.借地権の設定
8.遺産を無償で使用できることによる利益
9.生命保険金
10.死亡退職金、遺族扶助料
単なる生活費の援助は特別受益となるような贈与にあたらないとされていたり、結婚の際の結納金・挙式費用は特別受益にあたるような贈与にはあたらないなど、どの項目に関しても、細かい事例によりさまざまなケースがあるため、判例や判断はケースごとに分かれています。弁護士に相談することをおすすめします。
また、被相続人(亡くなった人)が遺言などにより、特別受益の持戻しをしないという意思表示をしているがあります。これを「持戻免除の意思表示」というのですが、この場合は、それに従うことになります。この持戻免除の意思表示は、書面によらなくても構わないとされています。しかし、きちんと書面にしておく方が、トラブルを避ける上でも大切です。これらについてもさまざまなケースがありますので、弁護士に相談してください。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。