相続人がいない人の遺産について
相続人がいない人の遺産はどうなるのでしょうか。
相続人がいないケースとは、例えば、相続人全員が相続放棄をしてしまったため相続人がいない場合や、被相続人にはもともと兄弟がおらず、さらに配偶者や子どももいない場合で、両親とも亡くなってしまったために相続人がいない場合があります。
このような場合には、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申立て、相続財産管理人が相続財産を管理しながら債務や遺贈の弁済を行い、被相続人の債権債務関係を精算していくことになります。
また、相続人がいるのかいないのか分からない場合にも、相続財産管理人の選任を申し立てることができ、相続財産管理人が相続人の捜索を行ってくれます。
ただし、相続財産管理人の選任申立の必要書類には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をそろえる必要がありますから、その段階で相続人が誰か、そして相続人は生きているのか判明することがほとんどです。
したがって、相続財産管理人の選任申立の必要があるかどうかを確認するために、まずは相続問題に詳しい弁護士に相続人の調査を依頼することが先決です。
相続財産管理人の動き
相続財産管理人には、ほとんどの場合、家庭裁判所が選任した弁護士が就任します。
この弁護士が、まずは被相続人の財産の調査を行い、財産の管理の方針を決定します。その後、被相続人に債権を持っている人や被相続人から遺贈を受けた受遺者がいたら申し出るように公告を出します。その後、債権者や受遺者に対して支払いをします。債務額が相続財産を上回るような場合には、相続財産管理人弁護士が破産申立をすることがあります。
その後、相続財産管理人弁護士が6カ月以上相続人捜索の公告を行い、相続人が現れた場合には、残っている相続財産を引き渡します。相続人が現れなかった場合には、特別縁故者に対する財産分与を行い、さらに残った財産は国庫に引き継がれます。
特別縁故者とは
特別縁故者とは、相続人ではないけれども、被相続人と生計を同じくしていた者や、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者をいいます。
特別縁故者への財産分与は、特別縁故者であると主張する人が自ら家庭裁判所に申立をしなければ行われませんので注意が必要です。また、特別縁故者に対する財産分与は思いのほか少額しか認められないことが多いのですが、弁護士に申立手続を依頼すれば、財産分与の金額を相当上げられる可能性があります。
特別縁故者への財産分与を期待する方は、弁護士に依頼して、どれだけ被相続人の財産形成に寄与したか、療養看護に努めたかを証明するための意見書や陳述書を作成してもらうことをお勧めします。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。