代襲相続について
代襲相続とは,相続人となる予定であった被相続人の「子」または「兄弟姉妹」が相続開始時に死亡・相続欠格・相続廃除を原因として相続権を失っていた場合に,本来相続人となる予定だった者に代わって「直系卑属である子」が相続分を承継する制度です。
この時,相続人となる予定だった者を「被代襲者」,被代襲者の直系卑属の子を「代襲者」と呼びます。代襲相続が発生して相続人が増えると,利害関係が複雑になって紛争が起きることが多いので,そのような場合には弁護士に相談するのが良いといえます。
代襲相続が開始される要件として,①代襲原因があること,②被代襲者が被相続人の直系卑属または兄弟姉妹であること,③代襲者が被相続人の相続開始時に生存していること,④代襲者が被相続人の直系卑属または傍系卑属であること,⑤代襲者に相続欠格事由が無いこと,が挙げられます。
代襲原因は,被代襲者がどんな理由で相続権を失ったのかが問題になり,死亡,相続欠格または廃除による相続権喪失が該当し,これらの事由によって相続人が相続権を失った場合に代襲相続が開始されることになります。
なお,相続放棄による相続権の喪失は代襲原因とはなりません。
例えば、被相続人の子が相続放棄したときに、被相続人の孫(相続放棄した人の子)が相続人にはなりません。注意してください。代襲相続が発生するかどうか分からない場合には,弁護士に相談をしましょう。
代襲相続のケース
代襲相続は,被代襲者が相続開始時に既に死亡しているケースが最も一般的です。
例えば,被相続人Aが死亡した時にその子どもであるBがそれ以前に死亡している,又は,不慮の事故などで被相続人Aと子どもBが同時に死亡した場合には,Bの子どもC(被相続人Aから見た孫)が代襲相続により被相続人Aの財産を相続します。なお,被相続人Aが子どもBよりも先に死亡し,その後にBが死亡した場合,A死亡時にBはAの財産を相続し,B死亡時にCはBの財産を相続することになりますが,これは代襲相続ではありません。
代襲原因のある相続の対策については弁護士に相談するのが良いといえます。代襲原因がある場合,相続権を持つ者が多くなりやすく,戸籍謄本等を取り寄せるだけでも非常に面倒な作業になることが多いですが,弁護士に相続人調査を依頼すれば,戸籍謄本等の取得も弁護士が代わりに行なってくれます。
また,代襲相続では,伯父・叔父・伯母・叔母と甥・姪など,場合によってはあまり親しくない親族が相続人同士となることがありますが,相続問題に精通した弁護士なら、このような相続人同士の相続問題についてのノウハウも豊富に持っています。
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この記事の監修者
弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナー(AFP)
小林 幸与(こばやし さちよ)
〇経歴
明治大学法学部卒業、昭和61年に弁護士登録。現在は第一東京弁護士会所属の弁護士に加え、東京税理士会所属の税理士、日本FP協会認定AFP資格者。
日弁連代議員のほか、所属弁護士会で常議員・法律相談運営委員会委員・消費者問題対策委員会委員など公務を歴任。
豊島区で20年以上前から弁護士事務所を開業。現在は銀座・池袋に事務所を構える「弁護士法人リーガル東京・税理士法人リーガル東京」の代表として、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーの三資格を活かし活動している。